今年もありがとうございました

2018年もあと3日。今年は4つの展示を作り上げることができ、1つの冊子を編めました。ひとりでは至らないことばかりで、まわりに助けてもらいながら乗り越えた一年でした。ありがとうございました。ほかにいくつか挑戦したかったことにも着手でき、秋ごろには、年末に一年を振り返ったらそれなりに満足できるかなと、実は思ったりしていました。

それで、今、振り返っているわけですが、満足にはいたらず、でもいつもの動かしがたい自己嫌悪みたいなものはなく、それはきっと良いことに違いありません。

まだやるべきことが全く納まっていないものの、昨日は二つの小山を登り終えたので、ちょっと早めにベッドに好きな本や雑誌を持ち込んで、読みながら寝落ちする喜びを味わいました。

MONKEYのだいぶ前の号(2014年)で、村上春樹が「職業としての小説家」という連載をしていました(もう単行本になっていますね)。第3回に「オリジナリティーについて」という文章が寄せられています。そこで、ある表現者を「オリジナルである」と呼ぶための基本的条件(すべて満たす必要はない)とは以下の三つが挙げられています。

1.ほかの表現者とは明らかに異なる、独自のスタイル(サウンドなり文体なりフォルムなり色彩なり)を有している。ちょっと見れば(聴けば)その人の表現だと(概ね)瞬時に理解できなくてはならない。

2.そのスタイルを、自らの力でヴァージョン・アップできなくてはならない。時間の経過とともにそのスタイルは成長していく。いつまでも同じ場所に留まっていることはできない。そういう自発・内在的な自己革新力を有している。

3.その独自のスタイルは時間の経過と共にスタンダード化し、人々の精神(サイキ)に吸収され、価値判断基準の基準の一部として取り込まれていかなくてはならない。あるいは後世の表現者の豊かな引用源とならなくてはならない。

村上さんは、これを軸にオリジナルってなんなのかをもう少し噛み砕きながら話を続けていきます。私は3についての書き方が面白いなあと感じました。多くの読書と翻訳で栄養を得ながら、とても長い視野で文学について考えている村上さんらしさも感じます。話のなかで、オリジナルと呼ばれるものが世に生まれ、そのなかのいくつかが古典となっていくその過程について、次のように書かれています。

ゴッホの絵や、ピカソの絵は、最初のうちずいぶん人を驚かせたし、場合によっては不快な気持ちにもさせました。しかし今では彼らの絵を見て心を乱されたり、不快な気持ちになる人はあまりいないと思います。〜それは彼らの絵がオリジナリティーを失ったからではなく、人々の感覚がそのオリジナリティーに同化し、それを「レファレンス」として自然に体内に吸収していったからです。

referenceという言葉の用いられ方がちょっと新鮮で、でも一度目を通したとたん、そんな気になってくるのが言葉の不思議です。そして、直接言及されているわけではないのですが、読んでいて思ったのは、ある作家を、ある営為を、良い、オリジナルだと感じたら、深く愛すことの大切さ。同時代のひとの多くに好かれるよりも、まず少人数でも誰かに深く愛されたかどうかが、残っていくためにはとても大切なのだということ。よく言われることではあるけれど、いろいろなものからレファレンスをもらってきた自分が、良い、価値があるから残ってほしいと思うものを、深く愛せているかなと、我が身を振り返りました。で、今朝ゲンロン友の会に入会したのでした。ゲンロン、がんばって。

少し話がずれましたが、新しい1年、どんな仕事ができるか楽しみです。簡単ではないけれど、そのいずれかが、少しでもオリジナルであることに近づけたらどんなに嬉しいでしょう。皆さんにも楽しみにしていただけたら幸いです。
お互い、多くの出会いと思索に、心が耕され、そこにふさわしいものが育つ一年でありますように。

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富士山展2.0

2019年1月5日(土)から1月26日(土)まで、ブロックチェーンを活用しオンラインでアートを販売するサービスを開始するStartbahnが企画する「富士山展2.0−ザ・ジャイアントリープ−」に参加します。全国の様々な会場で一斉に開催されるこの展覧会で、私は六本木のGallery MoMo Projectにて、三点の写真作品を出品します。

ブロックチェーンを活用したこのサービスはまだ新しいもので、私自身も読み物を通して、情報としては知っていたものの、自分が実際にそのシステムを関わるチャンスがこんなにも早くくるとは思ってもみませんでした。私が今更いうまでもないですが、ブロックチェーンの考え方を知ったとき、世界を国家で分割している今の価値観を覆すものだと、とても驚き、初めは戸惑いさえ感じました。そのような指向、思想がここまで現実として育っていることじたいに揺さぶられるような思いをしました。
Startbahnの試みが、アートの販売において、実際どのような革新がもたらせるかはまだ未知数、というのが今の私個人の正直な気持ちですが、試みじたいを肯定し応援したいと思い、参加を決めました。

展覧会は名前の通り「富士山」をテーマやモチーフとした作品が集まっています。私は、過去に撮影した、富士山を登った三本の八角杖で、新しいプリントを作りました。1月5日17時からはオープニングパーティーもあり、賑やかそうです。この日のみ会場にいる予定なので、お時間ありましたら、お立ち寄りください。

彼(あるいは彼女)は富士山に登った/木曽呂の富士塚
彼(あるいは彼女)は富士山に登った/川口市郷土資料館
彼(あるいは彼女)は富士山に登った/川口銀座商店街

最近のククブク

夫が運営している世界の料理本を紹介するククブクで、毎週金曜日にcookbookの売れ行きランキングを紹介するコーナーがあるのですが、昨日で100回目を迎えました。料理本というと、日本ではレシピを作る技術のシェアという実用的な面が前にでている感じがありますが、世界中の料理本を眺めていると、作れるかどうかというよりも、人間という文明をもった生き物の営みの面白さに、爽快な気分になって、今日もなにか自由に作って食べてみようかという気になります。夫も、記事を書くなかで、料理本についての考えが変化しつつある模様。ほぼ毎日アップされるので、読んでいないとあっというまに溜まってしまいますが、とくに面白いなあと思う記事など、またご紹介できたらと思います。

今回は、100回目の金曜日に、祝アニメーションを寄せました。記事とともにご笑覧ください。→金曜日のcookbookランキング
noteのアカウントをお持ちの方はこちらから(同じ内容です)→ククブクの味見

帰宅

 

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一ヶ月の高知県香北での滞在制作と展覧会が終わり、無事帰宅しました。

家に着くとほったらかしていたサフランが「勝手に咲いていましたけど、どなた?」といった風情で、だらりと迎えてくれました。こうなると、パエリアも作れません。

さて、滞在の様子を毎日書く姿勢を見せていたこのブログ。次々に起こるあれやこれやを乗り越えているのに必死で、早々と挫折してしまいました。情けない。。しかし、本当に多くのことに恵まれた日々でした。天候ひとつとっても、何かに守られていたように、晴れが続き、風が吹き、いよいよ空気が乾いてきたなと思うと、夜しっとりと雨が降って風景を洗い、朝には止んでくれました。

ここ一年ほど、自分の中で「物語」をつくることを恐れない気持ちを意識して育ててきました。その理由はここでは割愛しますが、この滞在制作で、作品の「物語」に血肉が通ったのは、協力してくださった皆さんのおかげだと思っています。本当にありがとうございました。

展覧会初日にも来てくださった近所の女性が一人、最終日に「もう一度見ておこうと思って」と、映像を流している蔵に入っていかれました。
女性は、蔵の裏にある畑で花を育てている方でした。その花畑はすごく整えられているわけではなく、自由さがあり、少し立ち止まって花々の奔放さをそのまま眺めたくなるような場所なのです。そして、そこは自分たちが最後に撮った場所でもありました。
明け方に撮るべきカットを撮り終え、帰り道、はりつめた気持ちをほぐすような感じで、なにげなく、その花畑に向けて三脚を立てカメラを回しました。すると、偶然向かいの山から朝日がのぼってきました。少しずつ風景に光が配られていく過程で、植物のなかにある水分がぶわっと立ちのぼるのを見た気がしました。誰が見ていても見ていなくても、これが毎朝起こっていることなのだと思いました。女性が、どんなことを思って作品を見てくれていたかはわかりませんが、花畑を作った彼女に、この映像を届けられたことをとても嬉しく思いました。

出来上がった映像作品が、あの風景の只中に生きるひとたちに喜んでもらえたことを、誇りに思います。喜ばせたいというようには露ほども思わず作ったので、なおさらです。
そして、この作品は現場で起こったことを忘れた顔をして、時間を経ること、またいろいろな場所でいろいろな方々の目にさらされることで、遠くまでいくことを願います。できるだけ遠くまで行けるよう作ったつもりですが、、またどこかでご覧いただける機会をもてるよう、がんばります。

ずっと避けてきたワークショップも、皆さんのおかげで二つ実現できました。
苦手な気持ちはどうにも変わりませんが、こうすればよかった、などの思いが生まれつつあり、これは自分には大きな変化です。

なんだかまとまりがありませんが、最後に。
このAIRを実現したエアライト高知主宰の二組のご夫婦、作家選定の際に推薦してくれた太田市美術館・図書館の小金沢智さんは、それぞれに、忙しい生活のなかで、いかなるときも制作を支えてくださいました。
とくに、発案者であり一番そばでサポートしてくれた西奥起一、栄利子夫妻には、アートに心を奪われてしまったひとが、どう人生を使ってアートと生きるかを学びました。
続けることはけして簡単ではなく、来年もなにかが成されることを当たり前とは思いません。今回のすべてに感謝するとともに、ただただ、彼らのあらゆる挑戦を応援し、楽しみにしていきたいと思います。
そして、毎日仕事もしながら、終わりの見えない撮影を、ひたすら続けてくれた夫にも感謝と好物の唐揚げを。

 

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高知での制作の様子を綴っていきます。

-4日目-

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(AiRLiteKochiのfacebookから)

今日は朝から近所の方々のお力を借りて、フラフを揚げる長さ12メートルの柱を、立てる作業を行いました。本来は、4~5月に立てるもので、この時期に立てるのは異例。しかし、これが立たなければ、作品じたいが成り立たないので、柱をお持ちの近所のTさんにお願いしたところ、二つ返事で了解してくださったのでした。

最初に予定していたカメラの位置では入りきらない高さで、急遽位置を変更しつつ、皆さんが声を合わせて柱を立てて行く様子をおさめました。試しに揚げたまっさらのフラフがはためいて、皆さんが「きれいやねー」って声をあげたのが、とても嬉しかったです。

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高知での制作の様子を綴っていきます。

-3日目-

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朝は自治会の草刈りへ。同じ建物に住む方に、目の前に広がる奥物部湖(地元では大栃湖とも)のお話もうかがったりしました。それにしても、皆さん明るくて、おしゃべりが楽しい。エントランスの掲示板に、自治会の案内のとなりに展覧会のチラシを貼ってもらって、きっと住民の方には謎だろうなあ、と思っていたら、気さくに声をかけてくださる方がちらほら現れて、楽しくなってきました。住んでいる物部は、展示場所とは少し離れた集落ですが、こうして住めたのもなにかの縁なので、この場所もよく味わえたらと思います。
さて、草刈り中に、湖のほとりに流木がたくさん流れついていると聞いたので、行って見るとたしかに、ごろごろと流れ着いてました。今回、11/23に「杖をつくろう」と題したワークショップをするので、流木が使えるかもしれないと集めてみましたが、どうなるかな。

エアライト高知 アーティスト・イン・レジデンス

Exhibition Vol.1     大和由佳 Yuka Yamato

“ひとがみずと立つところ Where Humans Stand Together with Water”

<オープニングレセプション・レクチャートーク>

平成30年11月17日(土)

話し手:小金沢智氏(太田市美術館・図書館学芸員)

【作品展示期間】

平成30年11月17日(土)~11月25日(日)

【場所と時間】

AirLite Kochi (高知県香美市香北町永野207)  11:00~17:00

永野地区田んぼ(AiRLite Kochiから徒歩5分)日没まで

美良布集活センター9:00~18:00

【AiRLite Kochiへのアクセス】

・飛行機で 高知坂本龍馬空港よりタクシーで約30分

・電車・バスで  JR土佐山田駅よりJRバス大栃行き美良布下車。市営バス蕨野線(1日3便)乗り換えて約10分、西永野バス停下車。

・自動車で    高知自動車道南国I.C.より約35分

<JR四国バス>

http://www.jr-shikoku.co.jp/bus/businfo/rosen_tosa/tosa-ototi.htm

<香美市営バス時刻表 香北町蕨野線>

https://www.city.kami.lg.jp/uploaded/attachment/4548.pdf