3月末のRAM PRACTICEで新作を展示しました。制作もリサーチも、コロナ禍で多くの制約がありましたが、それが私には地に足のついた制作に向かわせてくれたように思います。遡ってここまでの制作の備忘録を書き写したいけれどできるかな。最中のことはなかなか外に向けて書けないので、時々反芻するようにアップしたいなと思います。
「私はその森から枯れ枝を盗んだ」
2021年, 映像+平面インスタレーション
映像撮影 : 早川純一
写真資料提供 : 国立ハンセン病資料館
朗読テキスト : 多磨全生園患者自治会『倶会一処』『多磨』、柴田隆行著『多磨全生園・<ふるさと>の森』(社評論社)、同氏のHP上「森の年表」「随想・記録・論」
国立ハンセン病療養所の一つである多磨全生園は、東京の東村山市にある。当時、東京郊外の辺鄙で木々に覆われていたこの地区は、隔離施設を作るには「うってつけ」で、入所者自らが開墾して村を作りあげた。そして、戦争でほとんどの木が伐採されて更地にされ、それを幾度もの緑化計画のもと、植樹によって森を再生させたのが今の姿である。 物資の不足した戦後、生きるために枝を「盗伐」したことについて、いろいろな人が手記を残していることを知った。今の森で、私は枝を拾い、アトリエに持ち帰ることから作品は始まる。