草の芽、草の葉

日経新聞に木下長宏氏の「ゴッホ 新イメージ十選」の連載があると聞き、実家に切り抜きをお願いしておいた。COVID-19流行のためにまったく名古屋に帰れていないから、受け取れるのも先になると思っていたが、10回の連載が終わってすぐに送ってきてくれた。

この連載ではゴッホの10作品が選ばれて、文章が添えられている。ゴッホはアルルに行く少し前の時期、1人の日本人哲学者の「草の芽の研究」について知り、それに共感し触発された彼自身も「草の絵」をさまざまに描いていったという。かがんで草を刈る少年であったり、病院の庭の草叢であったり、ひまわりであったり、卓上の芽の生えた玉ねぎだったり。そして、その延長に糸杉があり、それら垂直に一途に天に向かう姿が、教会の尖塔と重ねて語られていて(ゴッホは元は牧師を目指していたので)、その読み解きに私は心を打たれる。

そんなところに偶然目にした言葉もあって、草ばかり見ている。( 編集室水平線 から)


ちいさな草を凝視めてゐると/いつまでも立つてゐて踏む者を見張りたくなる

 大江満雄「草の葉」